【レビュー】OVERLORD オーバーロード 魔王サマ 復活ノ時

OVERLORD
国内販売でのタイトルは オーバーロード 魔王サマ 復活ノ時
ジャンル：アクションアドベンチャー
CEROマークは「C」
発売日 2008/5/29　海外では2007/6/29
販売 Codemasters
開発 Triumph Studios
日本での販売はマイクロソフトが担当（当時Codemastersの日本法人は無かった）
なのでPC・Xbox360、後発のPS3のマルチプラットフォームだったが、惜しくも日本ではXbox360版のみ発売。
DLCで追加シナリオ有り、ローカライズもされています。

・ストーリー「目が覚めたら魔王だった」
　この世の支配者となるために今、蘇った魔王「オーバーロード」。
　堕落した過去の英雄たちの暴政で支配されている領土を再び悪の力で取り戻し、荒れ果ててしまった居城- ダークタワーを再建するのだ！
　その覇道にいかなる苦難が待ち受けていようとも、どんな命令にもひた向きに従う「4色のミニオン」と一緒ならどんなことでも成し遂げられるはずだ！
　悪の力で世界を我が手中に収めるのだ、行け我らが魔王サマッ！！



　この世に蘇った魔王サマとなり、悪の限りを至り尽くせ！
　君はその悪の力を持って領土を拡大し、人々を恐怖のどん底に叩き落す悪逆非道の「悪の魔王」になってもいいし、逆にその力で平和な世へと導く「善の魔王」となってもよいのだ。

　全ては魔王サマの思い通り……


・魔王サマと愉快な仲間たちの操作と特徴
　この作品は、プレイヤーは魔王「オーバーロード」となり、手下である「ミニオン」を引き連れて土地を練り歩き、堕落しきった過去の英雄共に悪の鉄槌を下して領土を占領していきます。
　さて操作方法は魔王サマ自身の移動・武器攻撃・スペル、それと「オーバーロード」のキモである「ミニオンの操作」からなっています。
　一応アクションアドベンチャーというジャンルになってはいますが、実際にはパズル的要素も強く、基本的に魔王サマはミニオンに命令を出すだけでOKです。
　この、「ミニオンに命令を出す」ということがことが、この「オーバーロード」というゲームを進めていく上での大半を占めています。

　魔王サマ御一行の下界での目的は大まかに分けて三つ。
　一つ目はメインのクエストを進めること、つまり本筋のストーリーを攻略していくということ。
　二つ目はフィールドを歩いてタワーオブジェクトや金塊を集めること。タワーオブジェクトは魔王サマに更なるスペルをもたらしたり、魔王サマ自身の武具を作るために必要な鋳造用の釜などがあり、攻略上探すことは必須です。
　三つ目はいわゆるサブクエスト、大抵は道中に用意されていて、進行上どうしてもやらなければならないものを除けば、それ以外はやるもやらないも魔王サマ次第。
　……やったほうが攻略が楽になりますけどね。

　さあ、ミニオンの軍団を編成して世界征服の旅に出よう！




・ミニオンを操り、敵を駆逐し謎を解くのだ！
　さて、そのキモである「ミニオンの操作」ですが、彼らは4種類のミニオンに分けられています。
　力自慢のブラウン、虚弱だけど炎を操れるレッド、臭いけど奇襲が得意なグリーン、唯一泳げる蘇生担当のブルー、この4種を配下として自由に編成できます。
　彼らは魔王サマのどんな指令にも喜んで従います、例えそれが「火の中に飛び込め」だとしても……可哀想だからレッド以外のミニオンを火に放り込むのはやめましょうね！
　逆に言えば、レッドなら火の中に放り込んでも大丈夫、というわけですね。彼らは火の自在に操ることができ、燃え滾る溶岩の中で快適なを生活を送ることだってできます。
　つまり4種類のミニオンたちはそれぞれ能力が違い、戦闘での得意不得意は勿論、進軍をするにあたって重要な要素にもなっているわけです。

　「4種類も同時になんか無理ですよぉ」という新米魔王もいるかもしれませんが、ご安心を。そのあたり「オーバーロード」はかなりユーザーフレンドリーに作られていて、段階を踏んでひとつずつ覚えていけるようになっています。
　例えば新たなミニオンを行使できるようになった後には、必ずそのミニオンの特徴と運用方法が学べるチュートリアル的なサブクエストが発生して、練習させてくれます。



　初めは力だけが取り得のブラウンだけですから何も難しいことはありません。最初は適当に襲わせて暴れさせるだけでいいのです。他の細かい事はストーリーを進めていく上で順番に学んでいくことが出来るようになります。存分に暴れ回って、魔王サマをなりきってください。それがこのゲームの入り口です。
　初めてプレイする人たちに対してちゃんと配慮している点は、とても好印象でした。


・バグや調整不足も……
　残念ながら、調整が万全というわけでもないようで、いくつかバグもあります。
　そのうちのひとつが「召喚したミニオンの数が合わない！」というもの。「ミニオンを使う」のに、そのミニオンの数が少なくなってしまうのです。これは後半でミニオンの最大数が増えてくるとなりやすくなります。原因はいくつかあるみたいですが、「召喚したときに壁に挟まって動けなくなる」ものや、「完全に姿かたちが見えず、でも呼ぶと声はする」というものまで。
　もしこうなってしまった場合、イベントでミニオンが強制的に移動するか、マップを切り替える以外に手がなくなってしまいます。

　攻略するに当たっての難易度の調整にも少し疑問があります。
　というのも、征服が進むと魔王サマの武具を強化することが出来るようになるのですが、その装備をフルアップグレードしてしまうと魔王サマが強くなりすぎてしまい、通常の戦闘ではミニオンで戦わせるよりも魔王サマが魔王無双状態にしてしまうほうが簡単になる展開が多くなってしまうのです。
　攻撃力MAX、防御力は城壁のごとく、更に自動回復まで付いてしまうとはまさに魔王。
　命令をくれないミニオンが、君を悲しい目で見ているぞ！

　ミニオンの運用にも少しバランスに欠ける点があり、基本的に戦闘は全てレッドミニオンに任せておけばOK、みたいなことに終始してしまうところも。
　50匹のレッドミニオンの火力はとんでもないことになり、ボス戦では直接アタックしてブラウンやグリーンが死ぬ危険を冒すよりも、レッドで遠距離からちまちま攻撃したほうが危険も少なく、早いのです。ちなみに一部を除いてほぼ全ての敵に対して、レッドの砲撃は有効で、他のミニオンがちょっと可哀想。

　最後にもうひとつ。
　スケジュールの都合だったらしいのですが、どうも発売に間に合わなかったらしくPC版とXbox360版ではミニマップ機能が搭載されませんでした。「オーバーロード」は全体的に地理を把握しづらく、東西南北の方角すらわからないので「今、自分はどこを歩いているんだろう？」という事態になりやすいのです。
　PS3版では余裕があったらしく、ミニマップの実装には間に合いました。日本では発売されませんでしたが……


・気になる日本語ローカライズの出来
　本作のローカライズは、吹き替え無しの日本語字幕。
　字幕の出来は非常に良いです、文章の雰囲気がちゃんと物語にマッチしています。
　一部、「天国まであと少し亭」みたいな無理やりな物もありますが、そこは愛嬌。

　ひとつ注文をつけたいとすると、フォントの色。
　グラフィックはファンタジー色の強い、少しキラキラした配色をしているのですが、その配色に負けて字幕の色が同化してしまい、読みづらくなってしまうのです。
　洞窟みたいなマップだと暗い色なのでいいのですが、野外や城みたいな比較的白っぽい背景と重なると、読むのが途端に難しくなります。
　また、台詞を跨いでシーンが入れ替わる場合、画面の暗転と一緒に文字も見えなくなってしまうのも気になりました。

　ところで、あまりに地味すぎてほとんどの人が気づかないと思うのですが、実はゲームのパッケージが日本だけ微妙に違うことに気が付いた人はいるでしょうか？
　ちなみに自分は言われるまで気が付きませんでしたっ！


・ところでマルチプレイは……
　あまり賑わっていないマルチプレイ、ちなみに日本は隔離サーバー。
　正直なところ「とってつけた感」があるので、それほど作りこまれているというわけではないです。
　あまり良くないのは魔王サマの操作ラグ。ワンテンポ遅れて魔王サマが動くので、かなり操作しづらい。
　それと内部の処理が重いのか、よくプレイ中に切断される。
　Coopで協力プレイも出来るのですが、調子よく進めている最中に突然のダウンはゲンナリさせられてしまいます。しかも割りと頻繁に起こるので、プレイ中は常に切断の恐怖に怯えなければいけません。

　シングルプレイがメインに置かれているので、確かにマルチプレイはオマケ程度の意味合い程度のものしか持ち合わせていないのかもしれませんが、それでもマルチプレイを用意しているなら、もっと作りこんで欲しいかなぁと思いました。


・総評
　悪の覇道を極めたとき、そこにあるものは一体何なのか。
　そして魔王サマの正体は……？
　難易度はかなり緩くサクサクと進めますが、DLCを購入したときについてくる難易度「レジェンド」でプレイすると、とてつもない難易度になります。気になる人は購入してみるのも良いと思います。

　色々と荒削りな面はあるものの、全体の雰囲気はとても良いものに出来上がっています。
　ミニオンを使ってのボス戦や謎解き、どいつもこいつも一癖あるキャラクター達、悪の道の行く末に待つものは果たして……順に出来ることが増えていくことがあり、物語の先も気になって止め時がわかりません。

　なお日本では絶望的に知名度が低いですが、日本以外ではそこそこ売れているようで、その結果続編も発売されました。
　国内での続編の発売は未だに発表がありませんが、一応体験版だけは来ているのでローカライズの話自体はあるのでしょう、あってほしい。




　この「オーバーロード」は、もっと知られても良いと思うんだけどなぁ……